衣類

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 婦人のふだん着は手織の紺無地(めく)の筒袖、男女の農作業にも帯をしめた。女子は十二、三歳から茜色の腰巻をかけた。嫁入前は千草小紋、成年になると白地、浅黄の無地または墨小紋のものを用いた。
 股引は木綿もので、若者は紺、老人は浅黄で、いずれも浅黄色の裏をつけた。足袋もしだいに普及し、はじめは紐で結んだ。元禄ころからこはぜ掛けとなった。手甲・脚絆は主に麻・綿で作り、社寺詣でには白脚絆を用いた。
 被り笠は女子は端折笠(つまおりがさ)、男子はそれよりも深い三度笠。老間(おいま)(当市老間町)で出来るぴいぴい笠とよぶ老間笠。頭巾にはお高祖頭巾(こそずきん)があった。また寛政十年(一七九八)のころ浅黄頭巾が流行し、手拭は手ふきのほか頬かむりにも用い、木綿合羽は天保七年ころすたれ、これまで道中三度飛脚や上方商人が用いていた引廻しが普及した。それは厚手の木綿縦縞であった。