絵図は美しい彩色画で、海・湖・川などは濃紺、陸地は緑、堤防は淡緑、道路は朱、郡境は太い黒、他領境は細い黒、主要な寺院・屋敷・町屋・松並木・樹木などは絵画風に、渡船場・橋・堰(関)・圦・水車・生簀・蛇かごなどにいたるまで図示し、村名はもちろん、そのかたわらには本田高・新田高を記入し、新田・百姓林をはじめ小さな谷などの名まで記載している。大きさにおいても精密さにおいても、今までに類例のないものである。
本巻では、その全容を示すために、これを縮写して白黒の折込み写真として挿入し、さらに浜松に関係のふかい部分は拡大模写し十二葉に分割して、次ページ以下に掲載した。その配列は折込みの全図と比較対照するとわかるように、北から南へ天竜川の上流①から下流に沿いつつ天竜川の川口⑥に出で、その西に連接する遠州灘海岸⑦から北上して浜松⑧⑨佐鳴湖畔⑩、伊佐見・和地方面⑪、都田方面⑫で終るようになっている。
なお種々の制約のため、ある部分は省略し、ある部分は記号(下表参照)で記した。天竜川流路の変遷、それをめぐる堤防の興廃、この絵図をみていると、そぞろに三百年の星霜の推移がしのばれる(原図渥美実、製図高橋素夫)。
[青山御領分絵図解説1]
[青山御領分絵図解説2]
[青山御領分絵図解説3]
[青山御領分絵図解説4]
[青山御領分絵図解説5]
[青山御領分絵図解説6]
[青山御領分絵図解説7]
[青山御領分絵図解説8]
[青山御領分絵図解説9]
[青山御領分絵図解説10]
[青山御領分絵図解説11]
[青山御領分絵図解説12]