遠江国改租

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 【七年五月】遠江国の改租は、耕宅地(田畑・塩田・郡村宅地及び市街宅地)については同国が浜松県であった時期に実施され、明治七年五月に着手、八年後半期には政府や県の督励もあって本格的に急速に進められ(後述)、九年六月の政府認可をもって完了したが、これは全国的には早く終了した方であった。これについで林野の改租も静岡県に合併後の十年三月の政府認可をもって完了したが、これは全国の最初であった。遠江国の改租結果の大要を表示すれば次の通りである(表①、②、③)。
 
① 遠江国(浜松県)の地租改正結果概要(民有地第一種)
地目改正反別平均反当り
地価
平均反当り
地租
平均反当り
収量
地租総額中
の百分比
円 銭円 銭石 斗 
耕宅地303,09360.381.81米 1 4 067
211,44323.770.71麦 1 2 003
塩田1,11611.240.33
郡村宅地46,42337.771.13
小計562,07597.7%
市街宅地2,033131.733.951.0%
林野その他山林752,8560.420.01
原野35,0790.220.00
荒地40,27800
新開鍬下43,99700
その他
小計873,7301.3%
総計1,437,840100%

『明治初期静岡県史料第一巻』による。ただし,反未満・銭未満は切捨。
なお,田方の全国平均反当り収量は米1石2斗6升2合4勺,市街宅地の全国平均反当り地価は160円余であった。
 
② 新旧地租額増減比較表 {+-は新税について示す。千円未満切捨。主として福島正夫著『地租改正の研究』による。
全国民有地新旧税額差引調地租改正報告書
(明治5.6.7年平均)
対新旧同価平均対年々石代価平均
万円万円万円
A耕地・塩田郡村宅地-101,0-397,0-406,7
B市街宅地・林野+116,9+116,9+116,9
総計(全国)+15,8-280,1-289,8
A(地租改正
事務局別報)
の内
浜松県(遠江)+12,8+7,3明治5~7年平均
静岡県(伊豆)-0,9-0,9明治4~8年平均
〃(駿河)+2,7+3,0
山梨県(甲斐)+1,7+8,2明治3~7年平均
筑摩県+10,0-0,9明治5~7年平均
愛知県(三河)-2,3-11,0明治3~7年平均
〃(尾張)+21,3+11,3

③ 浜松県第一大区十六小区(10か村)の田畑宅地の新税旧税比較表
村名新税旧税備考村名新税旧税備考
円 銭円 銭円 銭円 銭
佐浜1,745.57 1,512.68 西大山325.56 303.24
和地2,392.38 98.31 呉松1,728.34 2,112.96
平松652.63 840.94 東大山346.54 427.39
伊左地1,374.45 1,145.37 深萩68.40 57.82
谷上101.51 66.56 須ノ木沢255.88 86.46

銭未満切捨(浜松市和地『中村家文書』)