作業経過 等級制

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 こうして、県令が「地方未曽有之大業」と称した改租は軌道にのった。作業は人民による土地の地押丈量から始まった。地積測量法は十字法によることが多かったが係官の実地検査の段階で精度のよい三斜法による修正がしばしば行なわれた。ついで地価の算定という作業の核心に進むが、その一つの基礎である反当り収量の見積もりについては公平を期するため土地の等級制が用いられた。等級は土地一筆ごとに村内・小区内・大区内・遠州一国内と順次(聯環)に比較して決定された。これについて当地方の一例(気賀出張所管内)をあげてみよう(次表参照)。地価算定のもう一つの要素である米・麦・塩価については金谷・掛川・袋井・二俣・金指・浜松・舞坂の各地における明治三年から七年に至る五か年間の時価平均を参酌して遠江国全体を同額に定めた。
 
浜松県第一大区十六小区(10か村)田畑等級表
(浜松市和地『中村家文書』)
村名区内協議による等級十六小区
内の村位
等級
気賀出張
所管内村
位等級
備考
収穫平均
反米
収穫平均
反麦
宅地(反金)
石 斗 升石 斗 升
呉松1 4 01 6 0上の上等中 等一 等一 等50
和地1 3 81 6 052
佐浜1 3 51 8 0上の中53
伊左地1 3 51 6 0上の中46
深萩1 2 21 2 030
西大山1 1 01 2 5中の下37
平松1 1 01 8 0中の下48
東大山1 1 51 1 5中の下下の下37
谷上  9 61 1 52下の下29
須ノ木沢  9 01 2 0下の下下の下28

(管内九等まで)