目次
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近代編
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第二章 近代浜松の基礎
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第二節 殖産興業と地域の開発
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第一項 堀留運河の開掘
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見舞人足町村との紛争
浜松近在村々の不満
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このとき起ったのが、堀留荷物扱所と見舞人足を出した町村百四十有余村との間の紛争事件である。近在村の言分は、掘割作業にわれわれが見舞人足を出したのは士族授産の一助と認めたために外ならない。【井上の利益事業化】いま士族授産の実は上らず、井上個人の利益事業となったからには見舞人足を出した村々としては当然その利益の配分を受けるべき権利がある、というのである。井上はこれをきかず、ついに明治十一年に井上を相手に静岡始審裁判所浜松支庁へ訴訟を提起するというさわぎとなった。