では、どのような教育が行なわれたか。【必修教科】教育方針は学制頒布による小学教則と中学教則によって確定をみたが、浜松県ではその趣旨にそい明治六年六月小学区画章程を布達し、特に授くべき学科として読書・習字・算術の三科を規定している。【遠江風土歌】なお教科書には『遠江風土歌』(明治六年紺屋町博文舎発刊、作者明治六年三月~七年五月浜松県官員、元愛知県貫属士族田中正福)なども用いられた。【上等小学 下等小学 修学年限 四年】その後、教則も改定され統一されてきたが、その内容は小学校を上等小学・下等小学の二種に分ち、就学年限はいずれも四年、六か月を一課程として進級せしめ、八級で卒業となる。下等小学の教科目は読法・習字・算術・口授・体操・唱歌など、上等小学ではこれに地理歴史などが加わった。女子には裁縫があった。試験に合格すれば六か月を待たず進級できる制度であった。そして七年には二回も県下の学力一斉テストを行なっている。なお遠江では静岡県となっても旧浜松県の教則に執着をもち、これを用いる学校もあったという(前述。『文部省督学局年報明治十年第二大学区巡視功程』以下『文部省巡視功程』と略す)。