「風俗」東京と同じで、祭縁日は夜が多い。【肴町】「是白昼は寸暇を厭ふ故」で、ことに魚町(肴町)は活気があり魚店四十余軒ある。
少年で笛鼓三味・囲碁を嗜むものが多いので、琴三味線手踊の師匠がある。【松の内】松の内は五日までで、町では子供が飾り松の枝を手折って「往来せる若き婦人の尻をたたきよき子産て給へと祝せし風」があったが、これは明治三年の春から禁止となった。【紙凧】また紙凧は初春には揚げないで二月ごろから三、四月の頃にいたって「十枚余の物町々の若者等翫ふ。但し初男子出生せし家にては分限に応じ紙凧祝ひとて若者等に酒食をもてなす」が、五月六日限りで、その後は揚げない。【七夕】「七夕」には筆の師家へ筆子が集まり笛太鼓で戯れ遊ぶこと終日徹夜で、師は食物を出して慰労する。【盆】「盆」のうちは子供たちが家毎に米銭を乞い、集まって食事をする。【節分】また「節分」の夕べは家毎に赤鰯を門口へさすが、「やゐこがしの候をなが□(不明)おんまい申、となりのばばあがへをひってしゃらくさいフン」と唱え方を言うがその由緒はわからない。【彼岸】「春の彼岸」から「秋の彼岸」まで、一日に四度の食事をなす家が多い。