職業の種類は、その実態が捉えがたいが、渡世百五十二種、職七十二種、稼十種とそれだけでも二百三十四種の多岐にわたっている。
【渡世】渡世八百四十三戸のうち最も多いのは食料品に関する職業の五十八種で三十八%、つぎが衣料関係の三十三種で二十一%に達している。食料品では肴渡世四十八戸、菓子が四十四戸、穀類が四十一戸、飴菓子二十三戸、青物二十二戸、塩が十三戸である(いずれも兼業を除く)。衣料では浜松地方が綿布の産地だけあって木綿関係業者が多く、古着屋渡世がこれにつづいている。その他に宿場町の面影を伝える宿屋業(旅籠屋・郷宿・百姓宿・商人宿)が四十八戸六%と少からず残っており、貸座敷業が二十六戸ある。
【職】職の四百三十九戸のうちで最も多いのは大工職九十九戸の二十三%、ついで傘職四十九戸の十一%、それへ桶職・左官職・鍛冶職・仕立職・髪結職・鼈甲職などがつづいている。
【稼】稼の二百八十六戸のうちでは日雇稼が百八十五戸六十五%と最も多い。
その他の百七十八戸では雑業の百十一戸六十二%が最も多い。