日糖事件

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 日糖事件は日露戦争後の不況にあえいだ大日本製糖会社が政友会議員に金品を贈与し砂糖官営法案の成立を図ろうとしたために起きた事件であった。【沢田寧】このとき同社より依頼をうけ買収金三万円をもって議員工作の衝にあたったのが、本県出身の政友会議員松浦五兵衛(小笠郡)と沢田寧(浜松町)であった。両名はこれには地方政界の有力者にも工作の要ありとして、東海地方の諸団体の有力者にも誘いをかけたが、その中に浜松出身の中村忠七をはじめ浜松町会の幹部数名があった。
 しかし事件は発覚し、中心となった松浦は重禁錮十か月に追徴金二万円余、沢田がこれにつぎ重禁錮八か月に追徴金三千円、関係議員もそれぞれ罰せられた。明治四十二年七月で、県会議長の中村忠七も重禁錮三か月ただし執行猶予三年の判決を言い渡されたのであった。