【十三年】西遠商会 浜松を中心とした実業家たちによって、明治十三年九月に設立された銀行類似会社。浜松旅籠町三五番地にあった。発起人は平野又十郎・小栗義一郎・林文吉・金原儀平・伊東弥恵茂・邨松丘蔵・平野嘉意三郎・大谷弥平・気賀鷹四郎・気賀敬太郎・気賀荘太郎の十一名で、資本金は各人が千円ずつ出資した合計高の一万一千円であった。【創立趣旨】わが国が常に国際貿易において後れをとるのは「彼ハ財源ノ充満シ我ハ資本ノ菲薄ナル」ためであるから「宜シク衆資ヲ併合シテ以テ商業ヲ旺伸熾拡セシ」めなければならない、という設立の趣意(「商会創立之事」)に添い、一面には金融機関、他面には商事機関という性格をもって発足した。その後十四年には五万円に増資し、十五年には十万円、その間に掛塚(現在磐田郡竜洋町)へも支店を設け、順調な発展をしたが、時勢にしたがい商事方面は全廃し、十八年二月から浜松伝馬町四三番地で西遠銀行と改称し再発足することになった。