商店数と種類 商品移出入 米穀取引所 商品相場

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 【繊維業 木綿】これをみると、卸売商では食料品等の生活必需品を除くと足袋問屋が多く、仲買商では木綿糸生糸の繊維業者の多いのが目だっている。小売商でも繊維商と足袋商が、雑商では古着古道具商の多いのが目をひく。ついで四十三年の浜松を含む浜名郡の商店数は、卸売商八百九十五戸、仲買商九百八戸、小売商八千八百五戸(全商店の八三%)で、浜松の全商業戸数は全戸数の二十%(『浜名郡誌』)であったという。これらのうち現在も営業している企業を『商工年鑑』(昭和五十年版)によって調べると明治時代創業は八十三で、食料品製造業と小売業の二十八が最も多く、繊維関係十六がこれに続いている。創立年代も明治二十年以後が六十二の多数を占めている。【鉄道開通】鉄道の開通がいかに商業の発達に寄与していたかがよく分る。【二十七年】つぎは浜松における明治二十七年一月から六月までの重要商品の移出入統計表である。この表で見るように、各地との米の取引も盛んになって同年三月には米のみ売買をする浜松米穀取引所(理事長鶴見信平)が浜松町利(五社小路)に開業した。発起人は商業会議所の発起人と同じ顔触れであった。三十四年廃止となったが五社小路通りには仲買商が軒をならべていた。二二二頁の表は明治二十一年、三十三年、四十二年の重要物品の浜松における平均相場で、二十七年には商況を知らせる日報(『浜松商況日報』『浜松物価日報』)も発行されている(『静岡県統計書』)。
 
(表)商店数(明治27年11月)
商名
卸売商
酒酢3
味噌醤油4
砂糖4
糀塩4
呉服太物2
小間物1
油類1
紙筆墨1
履物傘1
足袋3
24
  
仲買商
米穀8
木綿糸生糸14
呉服太物1
鉄器物3
肥料3
29
  
小売商
米穀48
酒酢16
味噌醤油12
魚介獣肉68
茶椎茸6
煙草41
砂糖6
菓実35
乾物青物40
糀塩24
薬種5
木綿糸生糸36
呉服太物10
小間物19
陶器漆器23
鉄器26
荒物50
油蝋燭16
薪炭30
木竹材10
履物傘31
紙筆墨35
時計3
書籍8
足袋41
筬篩4
建具6
指物3
15
11
牛乳2
蓙畳表5
肥料6
雑品49
740
  
雑商
陸運送4
旅籠屋67
料理店11
飲食店118
木賃宿3
湯屋32
理髪店55
質屋30
紺屋20
古着古道具52
寄席2
雇人受宿3
遊芸稼人56
俳優4
諸請負4
雑種1
462

(『静岡県統計書』)