商工業の発展につれて物産が増加すると、その紹介宣伝のために浜松物産陳列館が設けられたのは明治三十四年であった。浜松の町営ではあったが、経営は商業会議所が委任されたかたちで、場所もこれに隣る田町にあった。しかし経費その他の関係で四十三年に閉鎖、その後は浜松駅待合室を一時の陳列場としたが、大正七年三月に従前の建物を修理し、商業会議所直営のもとに浜松商品標本陳列所と改名して開館した。しかし、十三年十月閉館となった。【昭和二年】その後、昭和四年十一月市経営の浜松市商品陳列所(浜松警察署旧庁舎利用)として再開され、隣接して十年建造された浜松商工会議所と並んで、浜松地方産業の紹介機関として貢献したが、二十年六月の空襲で焼失した。ちなみに当時の陳列品をあげると、織物・捺染布・楽器・帽子(ぼうし)・足袋(たび)・糸瓜(へちま)・蕃椒(とうがらし)・落花生(らっかせい)・生姜(しょうが)・蒲莚・繭撚子(まゆねんし)・麻真田・生糸・茶などがあった。