浜松電灯株式会社

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 【三十五年】明治三十五年九月になると、浜松電灯株式会社(資本金四万円のちに二五万円)が浜松町伝馬に設立された。おそらく浜松電灯合資会社の施設を継承したのであろうが、浜松へできた最初の本格的な電灯会社らしい会社であった。【火力発電】三十七年に駅南の火力発電所によって点灯を開始した。そして四十三年には点灯数六千九百五灯、供給区域も浜松町はもちろん天神町村・曳馬村・富塚村・浅場村とひろがり、区域人口も五万三十六人となっている。なお取締役社長は鈴木幸作であった(明治四十三年下期同社『営業報告』)。「帳場のお店に一つ(中略)、向店に一つ、茶の間に一つ、吊洋燈(つりランプ)に代って電気灯が灯され初めた時、此のやうな明るい光があるものかしら、と思ひました」とは電灯をはじめてみた鷹野つぎの感懐であった(鷹野つぎ『四季と子供』)。