ついで明治四十二年三月静岡県立浜松中学校が同校々庭に歴史参考館を開いたが、これは浜松地方の最初の郷土資料の展覧場というべきものであった(『浜松北高等学校八十年史』)。その趣旨は日露戦争記念として「諸生講学の資に供すると共に朝夕観覧の際大に士気を激発し得るもの歴史参考館に若くはなし」というにあり、生徒父兄職員の醵金によって竣工をみたもので、陳列品は浜名・引佐・磐田・周智の諸郡に及んでいる。目録によると、鴨江寺文書十一通、飯田龍泉寺文書二通、法華寺文書二通、玖延寺文書一通、正大寺文書二通、堀江大沢家文書三通、その他地図では伊能忠敬実測日本全図(足立三郎寄贈)、浜松城古図(中村忠七寄贈)・浜松町古図(県紑武寄贈)などが蒐集されていた(明治四十三年六月『校友会雑誌第32号』)。