総選挙

344 ~ 344 / 729ページ
 越えて昭和三年二月には最初の普選のもとに総選挙が行なわれた。わが静岡県第三区からは政友会三名(中遠地方一名、西遠地方二名)、民政党二名(中遠地方一名、西遠地方一名)、中立一名(西遠地方)の六名が立候補し、浜松を中心とした西遠地方は最大の激戦地となったが、井上剛一(民政党、西遠地方)を最高点とし倉元要一(政友会、西遠地方)・大橋又兵衛(政友会・中遠地方)・永田善三郎(民政党、中遠地方)の順で四名が当選した。次点は宮島清三郎(政友会、西遠地方、日清紡績会社々長で木俣千代八・佐藤章次らが支持したが新人のため落選)・県忍(あがたしのぶ)(中立、高柳覚太郎らの萩の会が支持、明治元年十一月生、磐田郡見付町住、浜松中学第三回卒、元大阪府知事。父藤七郎は井上藩士で浜松森田町を開拓した)であった。初めての普選による総選挙のこととて、浜松警察署管内だけでも違反数百件に達した。買収が多く、候補者の推薦状を村役場に持参し金はどこで貰えるかと聞いた者もあったという(昭和三年二月十七日『日本民声新聞』)。