上水道候補地

346 ~ 346 / 729ページ
 上水道問題を生じたのは大正十三年であった(後述)。【原島 篠ヶ瀬】市はまず水源地の決定をいそぐことになり、浜名郡長上(ながかみ)村字原島と同郡和田村篠ヶ瀬(ささがせ)を候補地として試掘にかかった。すると近隣から井戸水が涸れるという苦情がおこったので、急遽市内船越と伊場に変更したが、伊場からは水が出ず、船越からは「平素でさえ地下水汲上量の多い染色工場地帯のこの町にこれ以上の鑿井は」と反対され、最初の地下水汲上計画を放擲(ほうてき)することになった。【白鳥】そして今度は浜名郡中ノ町村白鳥地先より天竜川の伏流水を取水することに変更した。このように水源地問題がようやく解決をみると、こんどはかねて申請中の国庫補助金の交付が国の緊縮財政のため困難となり、仮に認可されても当分は年千円程度という回答が寄せられてきた。ここに於て市は上水道計画を即行するか延期をするかの採択を迫られることとなったが、市としては飲料水問題は捨ておきがたい問題ということで他の事業は延期しても敷設即行を決定し、工事費は市債・増税、又は市の基本財産の売却等による方法で捻出しようということになった。ときに昭和二年のはじめであった。