買物圏の拡大 近代化する商店 百貨店開業

375 ~ 376 / 729ページ
 このような傾向は郊外交通(二俣線・奥山線の開通。隣接市町村を連絡する近郊乗合バスの発達)の発達による買物圏の拡大となって商業都市化に拍車を駈け、物品販売業者も昭和五年には浜松市四千九百三十八戸と全戸数の二十二%を占め、同十年には五千七百四十五軒と増加し小売商同士の競争は激化ともなった(『浜松発展史』『商工会議所六十年史』)。そのため店舗の改装や近代化も行なわれ、小間物化粧品商の田町ぬいやは三階の洋風建築に(大正九年『浜名之栞』)、呉服太物商の老舗田町の笠井屋が経営方法をデパート化し、昭和十一年には棒屋(中村藤吉)が棒屋百貨店と称する新店舗を鍛冶町に開業した。そして昭和十二年六月には、建築様式近代式鉄筋コンクリート造地下一階地上八階、建築面積建坪千四百十四平方メートル延坪八千二百十五平方メートル、全館暖房換気装置・客用エレベーター二基を備えた松菱百貨店が、鍛冶町に浜松最初の本格的百貨店として開業した(『松菱二十年史』)。

棒屋百貸店

 こうして商品も近代化するとともに、古着・灯油・蠟燭(ろうそく)・足袋(たび)・腹掛(はらがけ)・股引(ももひき)・挽物細工・桶・傘などの商店はようやく減りつつあった。
 
(表)会社及金融(昭和15年)
1 会社
種別社数資本金積立金
総額払込額
総数41165,465,18742,226,86218,097,639
株式会社15254,097,45042,226,86217,317,795
合資会社1775,281,900136,478
合名会社775,875,835643,266
有限会社5210,000100

 
(表)2 金融
銀行
銀行数資本金払込金積立金
本店支店
3414,300,000円10,060,000円8,077,000円

 
(表)預金
年次総額定期当座特別当座其他
昭和13年55,209,98036,318,9907,441,4597,344,9654,104,566
〃14年70,899,13042,858,04511,421,94310,918,3305,700,812
〃15年97,517,68552,680,11818,130,14215,199,66411,507,761

 
(表)貸金
年次総額証書貸付手形貸付当座貸付割引手形
昭和13年30,276,3602,750,55216,126,3123,547,2067,843,290
〃14年37,182,9691,998,70821,658,1655,095,0648,431,032
〃15年43,607,4321,787,82128,661,2356,187,5956,970,781

年次会社数資本金額払込金額
大正5年948,494千円6,956千円
〃9年22743,106  24,538  
〃13年24642,083  30,612  
昭和3年29452,228  35,748  
〃10年39052,151  30,080  
〃15年41165,465  42,268