工場規模 生産品の多様化

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 つぎに工場の規模をみると、いわゆる三大会社をのぞく大規模工場はこの時代に創立されている(⑥表参照)。それに伴って生産品もこの時代から種類が増加してくる(②表参照)。【ハーモニカ】日本楽器製造株式会社では大正三年から開始したハーモニカの生産が急増、八年には全楽器生産額二百四十七万五千四百四十円中で百五十五万六千四百九十四円と、実に六十二・九%を占めるに至り、「蝶印ハーモニカ」は全国を風靡した。なお、このハーモニカの改良・発展には川口省吾の功績が大きかったという。以後、第一次大戦の終結とともにドイツ製品の復興などで減産するが、日楽の重要な生産品の一つとなった。【ベニヤ板】また同社は明治四十四年よりベニヤ板の製造を開始しているが、大正十四年の浜松市内のベニヤ板生産高は四十六万一千八百九十九円(『浜松商工会議所五十年史』)となっている。【プロペラ】さらにべニヤ板製造技術を生かして飛行機用プロペラ生産が開始されたのは大正十年で、この年の生産は百八本であった。
 
(表)⑤業種別・規模別工場数(大正13年)
○織物関係工場中には,機械関係の織機工場・染色関係・紛績などを含む
  職工数
業種  
20人以下20人以上  計  計の内
50人以上
織物関係3185136920
一般工業機械
材料製作
203230
特殊工業品209297
日用品358433
其の他2351

 
(表)⑥職工数100人以上の工場
工場名創立
織物関係日本形染株式会社明治3327934313
イス織布会社大正625168193
遠州織機製作〃91923195
城北機業株式会社〃732142174
東洋紡績株式会社〃6122424546
鈴岡織布合名会社〃741276317
下位織物株式会社〃836277313
特殊工業品篠原製糸場〃817104121
西野製糸場〃616107123
旭日氷糖株式会社〃136057117
日本楽器製造明治301,3043941,698
日用品帝国製造明治29149169318

○他に主なものとして,鈴木式織機(98名)・中村氷糖(81名)・三立製菓(68名)・東洋木工(57名)・開明堂印刷工場(89名)等がある。
○鉄道省浜松工場(1,179名)・専売局浜松出張所(職工519名)は統計からのぞく。
 
(表)大正期の主要機械工場
(織機製造をのぞく)
会社名内容所在地創業年
西遠鉄工株式会社鋳物鉄工業佐藤町大正9年
株式会社中山鉄工所石油発動機製造馬込町〃9年
合資会社西川鉄工所諸機械製作業松江町〃8年
株式会社杉増鉄工所諸機械製作業北田町〃8年
合名会社浜松製鋸所丸鋸製造業砂山町〃7年
浜松鉄工株式会社発動機製作砂山町〃4年