これは明治十年ごろ成立したと推測される「浜松町別戸数職種調」に記載されている職業をみても、綿・繰綿・綿布・綿打・綿買出し・綿仲買等と、木綿の取扱いによって生計を立てていると思われる職業が多いのでも想像ができる。また、これらの業者の位置を町別で調べると、旧武家屋敷町(元城・元目・御組町)や旅泊業者の多かった宿の中央部(神明・連尺・伝馬・旅籠町)等に少なく、宿はずれに密集していることがわかる。【名残町 七軒町 板屋町 新町】そのうち①宿の北部の名残町に多いのは庄内地方の綿作地帯に、②七軒町・成子坂町方面に多いのは西南部地域(篠原・若林・入野等)の綿作地帯に、③また板屋町・新町方面に目立って多いのは東南部地域の綿作地帯に直ちに隣接しているためである。