電力使用動力機の普及 全国一の普及

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 浜松地方に電力配給網が整うのは大正時代へ入ってからで、このころより電力による力織機は急速に普及し、大正八年における力織機の全国普及率は三十%で、大阪府の五十九%、愛知県の四十六%に対し静岡県は九十%と全国第一位を占めるにいたった(神立春樹『明治期農村織物業の展開』)。大正十三年末の浜松市内における動力使用の織物関係工場(織機・染色・紡績等関連企業を含む)は三百六十四工場で、動力としての電力は二千九百二十二馬力(他に一二六馬力は蒸気力)に及び動力は完全な電力時代となっている。
 
(表)大正時代 遠州地方織機台数の変遷
年次機業者
力織機足踏手織力織機
中の
大巾の比
大巾の
増加率
木製
並巾
鉄製
並巾
木製
並巾
鉄製
大巾
大正35386,3021,541811952,4681593.4%1 
45766,9581,5073204661,6761458.5%2.8
76396,8312,8791,0692,5051,36435527.8%12.9
101,62314,68210,1925283,7012,01417314.5%15.3
131,63210,84312,3824396,50482712529.9%25.2
141,5988,21212,9522536,91570515825.3%26 

(『浜松商工会議所五十年史』)
 
 力織機の普及した原因について、県是もあったが、その最大原因は遠州人の進取に富んだ心意気であった、と遠州製作株式会社『五十年史』は力説している。

織布工場 内部(1)


織布工場 内部(2)