永久社創立

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 その後、永久印の縞三綾の注文が急増すると山本又六(浜松工業試験所長)の支援を得て同業者に呼びかけ、十二年八月、産業組合法による有限責任輸出織物販売利用組合永久社(理事長高柳信蔵、事務所浜名郡吉津村鷲津、工場鷲津および浜松市木戸)を創立した。【商標 共同化】これは原料を共同で購入、共同で漂白・染色・糊付を行ない、織は各個で行なうもので、商標を無償で組合に提供し、中小企業者の協同化、すなわち設立趣旨書に基いて精練・漂白・染色・糊付等に関する設備一式、整経糊付及附属設備一式を備えた共同利用工場をもって共同加工・製品検査・包装商標の統一をなしとげるというのが設立の目的であった。
 大正十四年九月政府に対する永久社の進言もあって、産業組合と製品検査権をもつ同業組合の双方の長所を取り入れた重要輸出品工業組合法が施行されたので、この法律に基き十五年八月有限責任輸出織物販売利用組合永久社の財産・事業をひきつぎ、全国初の工業組合として遠州輸出綿織物工業組合永久社が認可設立された。
 永久社は浜松市・浜名郡・引佐(いなさ)郡をその区域として設立当初の組合員百十一名、有資格者五十三名であった。【天竜社】こうして大正末年には天竜川以東の天竜社(既述)、天竜川以西の永久社と従来からの遠江織物同業組合の三つの組織が活躍することになった。