三川排水改善期成同盟会 浜名用排水幹線改良事業

459 ~ 460 / 729ページ
 浜名耕地整理組合の解散後も関係地域住民の灌漑排水改善の願望は根強く、昭和五年七月には「馬込・芳・安間三川用排水改善期成同盟会」(会長、高林泰虎)が生まれた。三川関係地域の一市(浜松)二十一か町村が参加し、地区内農業用排水幹線改良工事の県営施行を目ざして、内務省や県知事に陳情を行なった(『遠州産業文化史』)。内務省宛の陳情文(昭和七年八月)では、農家経済不況の折柄、政府が「産業振興土木事業」の趣旨にもとずく河川(全国三九河川)改修計画の中に馬込川を選定し、地元負担をなくし、農村救済をはかったことに感謝するとともに、その実施に際しては用排水幹線改良という目的を十分に加味されたいこと、また芳川・安間川の改修も同時に進めてほしいことを希望している。いっぽう、県では浜名用排水幹線改良事業の計画を進めていたので、同盟会はこの県営工事に三川用排水幹線改良の目的を加味することを期待して昭和十一年十一月に県当局に対して次のような趣旨の陳情書を提出した。

安間川水門

 「浜名用排水幹線事業が数年後に完成すると、①関係水田約四千町歩が旱水害を免がれ米の増産や水田の二毛作が可能になる、②工業都市の浜松ではこの流水を利用して発電設備をすれば豊富低廉な電力を供給され諸工業の躍進を見るべく、③さらに分水された天竜の浄水により汚水の停滞になやむ馬込川・新川もきよめられ十五万市民の保健衛生にも好影響がある。浜名郡及び浜松市の多年の熱望である本事業が実施の運びとなるように特別の高配を賜わりたい。」