会社の対策

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 会社側は争議不参加の三十余名に従業員の新規採用をもって操業を続けこれに対抗し、争議団側は真相発表演説会による寄付金の募集、行商隊による資金の獲得等をもってこれに対立、会社側への示威運動を展開したり、不参加従業員に対し出勤妨害の挙に出たが、これはその度ごとに検束者を出すという始末であった。中部交通労働組合・清水製材労働組合・静岡無産青年同盟等の応援もあったが、争議団側にはようやく疲弊の色が濃くなった。
 
【調停】争議団側は石岡孝平(明治十二年生、浜松千歳町、昭和二十三年没)・大野木代次郎(安政六年生、浜松木戸町、昭和八年二月没)らの調停を依頼したが成功せず、二月八日西川熊三郎(浜松松江町)らが調停に立ち、争議団側と協議の上①馘首者五名②解雇手当一か月分支給③鋳物部単価一割値上という譲歩案を提出したが、会社側の回答は①は承認②は解雇手当は五人に対し総計二百円支給③は不承認④職工は復職と見做さず新規採用とし、組合に加入しない旨の証書を提出すること、というきびしい内容であった。