【要旨】第一条 衛生設備完成御実施相成度候(以下要旨)、便所・洗面所の増設、ウエスを再消毒、食堂の設置、昼食休みを四十分にすること(従来は三〇分)。第二条 相扶会の会計監査役を各部平職工中より一名宛選出相成度、会計袋に人工を明細に記入相成度候。第三条 正月の休日十日間を七日間と改正御実施相成度候。但し十二月三十日より一月五日まで。第四条 決算期の休日及び会社の都合にて中途退場の場合は、日給一人を支給相成度候。第五条 兵事関係によって休んだ場合は、日給の半額を支給相成度候。第六条 来期より皆勤賞与を廃し、年功賞与を御実施相成度候。第七条 退職手当は六ケ月未満三十日分、一ケ年未満四十五日分以上、一ケ月を増す毎に一日分を加算相成度候。但し三ケ月未満は支給せず。第八条 最低賃金を左記の如く御実施相成度候。男十五歳以上七十銭、男壮丁以上一円六十銭、女十四歳以上六十銭、女二十歳以上一円十銭。第九条 一ケ年二回、必ず昇給御実施相成度候。第十条 公傷にて入院中もしくは作業不可能の場合は、日給一人を支給相成度候。第十一条 残業の場合は相当の歩増を支給相成度候。第十二条 年二回の慰安会を開催せられ度候。
右の条項に対し、貴会社事業不振の折柄、御困難のこととは候へ共、私達の実生活状態を充分御調査被下、来る二十五日午前九時迄に職工代表並に組合代表と会見の上、御回答相成度候
日本楽器株式会社々長 天野千代丸殿 日本楽器株式会社職工代表者
日本楽器製造株式会社販売部(大正8年撮影)