(表)大正15年 日本楽器争議経過表(自4月21日 至7月26日)
月日 | 組合の動き(争議団・その他) | 使用者・官憲の動き |
4.21 | 日楽従業員12項目の嘆願書を天野社長に提出 | |
22 | 内輪同志で円満解決したいと天野社長語る | |
23 | 社長,従業員代表3名と非公式に会見 | 会社,突如慰安会を歌舞伎座で開催 |
24 | 八幡町に職工代表100余名集合善後策を協議 | |
25 | 代表7名,天野社長らと会見,交渉始まる | 天野社長・小竹重役ら職工代表と準備会談 |
26 | 改めて会社へ要求書提出。午後からスト突入 | 会社重役会開催,背後関係を検討 |
27 | スト資金給料の一日分カンパを決定 | 27日午後から欠勤の者,スト参加者とす |
28 | 三田村ら評議会幹部来浜。市内へ街頭宣伝 | 市内各工場経営者結束。警官150名到着 |
29 | 争議部長本沢ら会社に交渉申入れ,社長拒絶 | 労資協調会原田嘱託,調停の為社長と会見 |
30 | 会社側,罷業職工に26日までの賃金を支払う | |
ライオン館にて争議真相発表演説会開催 | ||
5.1 | 浜松合同労組主催で浜松最初のメーデー開催 | |
2 | 争議団本部をライオン館より元城町山住神社に移す。労働講座開始 | |
4 | 八幡神社で慰労大運動会・労働講座開催 | 県大串高課長来浜。県社会課鈴木会社訪問 |
5 | 右翼介入,三田村ら浜松署へ右翼の取締方を申入れる | 天野辰夫ら日本主義労農同志会の壮漠,市内にビラ撒布 |
6 | 争議団全員中田島海岸で慰安会。夜演説会開催,ビラ配布,右翼も対抗してビラまき | 会社側全市へビラまき |
7 | ライオン館にて会社糾弾大演説会開催 | 渡辺浜松市長,浜松警察署長と打合せ |
8 | 市長ほか,伊東知事らに調停方を依頼 | |
9 | 争議団宣伝ビラ街頭で配布 | 天野社長ら浜松署で毛利警察部長と懇談 |
10 | ライオン館にて第三回糾弾演説会開催 | 浜松市議会開会,天野議員争議経過を説明 |
11 | 争議団争議日報を発行 | 200名は就業申出あり,と会社側発表 |
12 | 後藤兼太郎ら2名ピケで検束さる | 資本家の団結はこれが最初と協調会早川談 |
13 | 争議団,正門前のピケを強化説得につとむ | |
14 | 帝国製帽など14大小工場従業員名・争議団浜松合同名にてビラ配布 | 復帰職工105名と発表 |
15 | 横浜工場労働者要求書提出 | |
16 | 会社正門前の警備団本部を復活 | 鮮人相愛会,会社を激励。労農同志会演説会開催 |
夜高町秋葉神社で集会中の争議団員29名逮捕さる | ||
18 | 暴力団,元浜町の争議団本部を襲撃 | |
19 | 上村弁護士ら東京より来浜 | 復帰職工30名6台の自動車でビラまき |
21 | 「17日夜来争議団に対する官憲の圧迫は極点に達す」と報道 | 会社側始めて操業,200余名と発表 |
22 | 争議団代表須藤ら横浜工場にて代表と会見 | |
23 | 市内3か所で大演説会 | 会社楼上にて復帰職工の慰安会。18名解雇 |
24 | 新聞,労農同志会を批判 | |
25 | 横浜工場怠業状態に入る | 重役会,温情主義を排すと決議。21名解雇 |
26 | 横浜工場全面解決,要求どおり通る | 全国大会社から会社側へ激励集ると報道 |
27 | 職工の争奪戦はげしくなる。労働者側団結 | 小山重役,横浜工場へ急行 |
28 | 28名解雇申渡す。計98名と発表 | |
29 | 争議団幹部大検挙,98名。争議団要求書提出 | |
30 | 争議団本部大阪にて委員会開催支援を決議。東京・大阪などでも検束さる | 会社側,大検挙をまって争議団員宅へ1日正午までに復帰する様最後通告を郵送 |
31 | 検束者のうち争議団員釈放さる | |
6.1 | 会社側の復帰申込み締切日,復帰者殆どなし | |
2 | 警察の弾圧を市民非難,争議団に同情集る | |
3 | 合同労組傘下の労働者6日を期し総示威運動を決行と決議 | 伊藤知事,天野社長を招電,市長・中村代議士らと静岡にて毛利警察部長と密談 |
4 | 第一次調停開始 | |
7 | 争議団あくまで斗う旨声明 | 会社側,復帰職工に待遇改善策を発表 |
8 | 評議会争議部を浜松に移し,奥村甚之助を臨時争議部長に任命 | |
9 | 復帰せぬ800余名を退職者とし名簿を削除 | |
10 | 争議団・市民等5,000名の署名をもって内相に面会申入 | |
11 | 争議団・市民代表等浜口内相に面会 | |
13 | 竜禅寺観音境内で第二回慰安会。デモを行う | |
19 | 争議解決促進連盟結成,趣意書を配布 | |
21 | 争議団従業員大会演説を佐藤町で開催 | |
22 | 真相発表大演説会を名残町橋井方で開催 | |
23 | 争議団,株主総会をめがけてデモ,60名検束 | 株主総会,天野社長責任追及さる |
24 | 労農同志会,争議解決促進連盟を糾弾 | |
26 | 争議解決促進連盟,非難に対し声明書発表 | |
27 | 市長・高柳・大野木ら調停に関し協議 | |
28 | 第二次調停 | 市長ら争議団代表南喜一他6名と会談 |
29 | 争議団員,争議解決条件について協議す。争議資金捻出のため行商隊活躍 | 市長・中村代議士,会社側・争議団双方と会談,物分れに終る |
30 | デモ隊5名検束 | |
7.1 | 浜松合同労組,第一回拡大執行委員会開催 | |
2 | 争議団,浜松合同労組の名で官憲の選挙干渉に対し檄文を発表。争議団員5名検束 | |
4 | 職工の新規募集に関し声明文発表 | |
6 | 「調停運動経過と吾等の態度」と題する声明文を発表 | 13班詰所より投書箱押収 |
7 | 従業員中在郡軍人に在籍の者,大和会を組織 | |
8 | 「調停を頼るな,実力で行け」と争議団員に警告 | |
9 | 真下・上村両弁護士調停に関し知事と会談 | |
10 | 毛利警察部長ら労資双方の意見を聴取 | |
11 | 浜松合同労組大会,役員改選ほか6件を可決 | |
12 | 会社側,協調会大月同席のもとに市長と会談 | |
16 | 小竹重役邸にダイナマイト投入。27名検束 | |
17 | 検束者70余名,暴力行為取締令か騒擾罪を適用するか研究中 | |
18 | 17名,騒擾罪で送局 | |
19 | 放火予備罪で7名に拘引状 | |
20 | 争議団本部・第7班詰所襲わる | |
21 | 28名検束 | 20日に争議団本部・詰所を襲った4名検束 |
22 | 「争議団遂に怒る」のビラ配布 | |
23 | 争議団は天野辰夫対大橋京之助との間における解決案及び添田調停案を発表 | |
24 | 6名検束 | |
26 | 行商隊の1か月の売上げ760円85銭となる |
(『静岡県労働時評5号』)