争議調停の動きは、その後五月四日には県から大串高課長らが会社を訪問し、七日には市商業会議所役員らが浜松署で争議状況を聞いている。八日、渡辺市長・松本半蔵県会議員は県に赴き、伊東知事・毛利警察部長と会見して、調停方を依頼している。九日には浜松商業会議所は緊急総会を開き、つぎのような陳情書を知事に送った。【浜松市民の迷惑】争議以来「市内商店若クハ印刷所等ヲ暴力ヲ以テ威迫スルモノアリ漸次悪化ノ傾向有之為メニ一般商工業者ハ頃来不安ノ念ニ襲ハレ経営上恐慌ヲ感シ来リ、地方経済界ニ影響ヲ及ホスニ至リ候ハ甚タ心痛ニ堪ヘサル事態ニ」ついては当局において適当な保護にあずかるよう配慮を願いたいというのであった。六月四日に評議会の代表者は渡辺市長と会見し、はじめて争議の仲裁を申し入れた。また普済寺住職柴田得雲・光雲寺住職や高柳覚太郎らは、仏教積善会・中村四郎兵衛・倉元要一代議士に仲裁を依頼した。
【解決促進連盟案】こうした動きのなかで、中村重吉・松本半蔵県議ら数名によってつくられた調停組織「争議解決促進連盟」は、それまでの多くの調停が会社側に立つものとして、争議団側からは顧みられなかったが、労働者側に立つものとして争議団側からは歓迎された。