大正十三年二月には鹿島線の起点の板屋町駅から馬込川西岸(現馬込駅の付近)まで拡幅路線が新設され、昭和二年九月には旭町駅が新設されてここまで路線が延長された。旭町駅は東海道線浜松駅の目前にあるため浜松駅から板屋町駅までの徒歩連絡の不便もなくなり、貨車も東海道線からそのまま乗り入れができるようになり、鹿島線の輸送力は飛躍的に上伸した。【北浜村発展】また沿線の北浜村の貴布祢駅(元木船駅)・小松駅方面の発展は著しく駅前には商店街ができるようになり、十三年には西遠軌道株式会社(社長竹内竜雄)経営の貴布祢と宮口を結ぶ四・二キロメートルの軽便鉄道宮口線もできた。この方面に日清紡績会社浜松工場ができたのは大正十五年であった。昭和四年旭町駅は近代的な三階の鉄筋建物に改築され、本社もここに移された。屋上には食堂もあり、夜はイルミネーションが輝き、人々の耳目をそばだてた。
改築された遠州電気鉄道旭町駅