しかし郷土教育が本格化するのは、文部省が郷土を去っていく農村子弟を一掃する目的で、郷土教育をとりあげその研究補助金を各師範学校へ出してからであった。この指示にもとづき浜松師範学校が郷土教育講習会の開催をかね郷土教室経営の計画を立て、これを世に問うたのは昭和七年六月であった。【浜名湖研究】『郷土教育原論』(昭和八年刊)の著者長谷川藤太郎が校長の時代で、「環浜名湖の協同研究」を研究主題とし、佐々木清治の『環浜名湖の人口流布』、飯尾哲爾『浜名湖付近の土俗について』、小栗源市『浜名湖の生物相』などが発表されている(昭和七年八月、浜松師範学校「環浜名湖の協同研究」『郷土教育』特集号)。なお、浜松附属小学校では郷土教育資料附属叢書を、また第二附属小学校では『追分の友郷土綴方号』を刊行している。