大正九年版『浜名之栞』は浜松四時の遊楽として左のような事項をあげているが、これによって当時の行楽地を知ることができる。
春 桃花(若林・銭取) 桜花(五社公園・天守閣・八幡公園・岩水寺) 牡丹(ぼたん)(天林寺公園) 躑躅(つつじ)(鹿谷園・和地山・三方原) 藤花(西来院) 潮干狩り(弁天島) 凧揚(たこあげ)(和地山練兵場) 浜遊(米津浜・白羽浜)
夏 蓮花(平田の蓮池・浅田の蓮池) 螢狩(浅田その他近郊) 船遊(中田島・浜名湖) 海水浴(弁天島・中田島)
秋 観月(天守閣・高町半僧坊) 鴨狩(浜名湖) 茸狩(三方原・舘山寺・都田山)
冬 雪見(五社公園・八幡公園・天守閣) 避寒(弁天島) 梅花(八幡公園)
このほか鴨江十九番根上り松や沢の金魚池があった。なお右のうち、今は全く見られないものに浅田の螢や蓮の花・和地山の躑躅・若林の桃・舘山寺の茸などがある。