文化誌には『第三者』と『谷島屋タイムス』があった。【第三者】『第三者』は、加藤雪腸(せっちょう)(後述、本節第四、五項)が大正四年三月発刊したタブロイド版四ページの文芸中心の小雑誌であったが、文芸作品をのせ浜松最初の文化誌であった(翌五年廃刊)。【谷島屋タイムス】また『谷島屋タイムス』は店主斎藤源三郎(二代目)の発案になるもので、大正十一年一月以降休刊もあったが、昭和十三年十一月までに百七号発行されている。わずか四頁のタブロイド版月刊紙であったが、学芸・読書・教育・スポーツの各欄があるばかりでなく、消息欄も設けられ文化行事や文化人の消息を掲載し、浜松唯一の文化ニュース紙としてよろこばれた(『谷島屋百年史』)。編集は法月歌客があたりのちに中村精(後述)が担当している。