【虚子】かねて恩師子規の句碑を浜松地方に建立したいと考えていた雪腸が浜名郡弁天島(弁天社境内)に「天の川浜名の橋の十文字」の句碑を建て、東京から虚子(きょし)(五十二歳)を迎えて除幕式を行なったのは、大正十四年七月五日であった。参加するもの五十余名、浜松を中心として豊橋方面にも及び、式後に丸文旅館で記念句会を催した。選者は虚子であったが、このとき雪腸の句は一句も採られなかった。雪腸の句は、「潮なめて干からきに日の大暑かな」「海月とけて烈日の砂うるほへり」であった。ちなみに虚子の句は「葭簀茶屋たたみ上げたる蓆かな」であった。