梨の葉会

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 浜松の演劇愛好家松本長十郎たちが戯曲(脚本)の朗読研究会を演武館で試みたのは大正二年であったが、十年になると「梨の葉会」が結成された。【小池橇歌】主宰は小池橇歌(きょうか)(礼三、当市伝馬町、江間殿小路、どじょう鍋屋「柳川」経営、昭和五十年十一月没、七十五歳)で、参加するものに園山英夫・花井陽三郎・渥美静一・杉浦慶一などがあり、浜松最初の本格的な演劇研究団体であった。【朗読会】第一回の朗読会は十一年六月で、浜松中後道の松涛会事務所を会場とし「黄楊の櫛」その他を上演し好評を得た。梨の葉会はこれより昭和八年三月までに会場は検番事務所(千歳町)・交友堂(鍛冶町)・金井屋呉服店(鍛冶町御幸通り)楼上などと転々としたが、三十四回にわたって公演をしている。ことに第十七回の昭和五年八月の市公会堂ホールでの公演には、久保田万太郎作「姉」、岡本綺堂作「勿来関」などを上演し盛会であった。