これを契機とし浜松地方にも民芸運動の気運がようやくおこり、民芸品の研究家・収集家もあらわれた。高林兵衛の大津絵、内田六郎のガラス絵・泥絵・仏教画などがそれである。【ざゝんざ織】精の実兄平松実(当市中島町)が草木染と手織物の研究をはじめたのもこのときで、その手織物は「ざゝんざ織」の名称のもとによく人に知られている。その工房(当市中島町)には昭和七年頃外村吉之助・柳悦孝もいたことがあった。民芸展覧会等もしばしば浜松に開催された。昭和四年ガラス絵展、六年泥絵展、同年九月と七年六月の二回にわたり浜松鴨江寺で催された現代民芸展覧会、六年十月誠心高等女学校における織物染色展覧会、十一年六月の浜松民芸同好会の主催による日本民芸品展覧会などがその主なものであった。