浜松警察署の報告によると「被害大ナルハ浜松市・入野村・篠原村・芳川村・五島村・河輪村・中ノ町村」とあり、「中島飛行機工場ノ被害又大ニシテ工場ノ約八割破壊セラレタリ、目下中部第七十九部隊兵員約三百名出張取片付中ナリ、又日本楽器天竜工場ノ被害モ甚大ニシテ前記第七十九部隊兵員約百名出張応急復旧中ナリ、東京ヨリノ集団疎開学童当署管内ニ約一千名アルモ被害ナシ」とある。なお飯田国民学校では児童三名が圧死している(地蔵建立)。
　しかし一般的に磐田郡や小笠郡に比して浜松付近の被害は僅少で、出火のなかったのも不幸中の幸であった(大庭正八『一九四四年十二月七日東南海地震に見られた遠江地方の家屋被害分布と地盤との関係』、浜松測候所『静岡県遠州地方の気象』、関七郎『史料に見る東海大地震』)。なお市の地震救助費は五万二千三百円余で右表のとおりであった。
　
(表)地震救助費