高町の半僧坊から浜松駅の方を眺めると、見渡すかぎりの瓦礫の町であった。
住むに家なく、明日の食糧にも欠くどん底生活であったが、浜松の市民はその焦土の中より、足を踏みしめて立ちあがった。インフレに泣きヤミに苦しみながら、槌音高く明日の浜松再建に取りかかったのであった。
それより三十余年、静岡県下最大の都市として人口四十九万七百人余、面積二百五十平方キロメートル余(昭和五十五年一月現在)、目を見張るような大発展をなしとげてきた。誰がかつて現在のような浜松の姿を想像し得たであろうか。
その苦闘にみちた力強い市民の歩みは後日にゆずることとして、本巻を終ることにする。