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 『浜松市史』の通史編は昭和四十三年に一(原始時代から中世まで)、同四十六年に二(近世)、そして同五十五年に三(明治時代から昭和二十年八月まで)を刊行しました。
 平成の時代に入って戦後五十年を迎えようとしていたころ、多くの市民の皆さまから戦後の浜松市の歩みも『浜松市史』として刊行してほしいとの声が出てまいりました。これを受けて平成八年から浜松市史の編さん事業が始まりました。事業は明治以降の浜松の歩みを示す史料の収集から始まり、このうち三千数百点の史料を『浜松市史』新編史料編として全六巻を刊行しました。そして、これらの史料やこれまで刊行されてきた多くの冊子などを参考に戦後編の通史の編さんに取り掛かりました。ご承知のように、昭和二十年八月十五日は、日本人にとってこれまで経験したことのない日となりました。多くの生命が失われ、産業基盤の多くも破壊され、敗色濃厚となってはいたものの、終戦の詔勅を聞いた市民の多くは茫然(ぼうぜん)自失の有り様でした。しかし、間もなく人々は多くの苦難に遭いつつも復興に立ち上がりました。日本の政治や経済、教育、社会、文化の体制は大きく変わり、世の中は民主主義の時代となりました。こうしたなか、浜松の復興は幾つかの部門では問題が残ったものの、市民の復興に燃える意気込みは大きく、十年を経ずに戦前の姿に、いやそれ以上の発展を遂げるまでになりました。この通史編四では戦後の復興の歩みを多くの史料を使って皆さまに分かりやすく記述することに努めました。
 東日本大震災や原発事故、そして世界経済が混沌としているなか、私たちは戦後の復興に立ち上がった先人に学び、この危機を乗り越えていかなければなりません。
 『浜松市史』四は戦後の昭和二十年八月から高度経済成長期が始まった昭和三十四年ごろまでを対象としており、それ以後は『浜松市史』五として刊行いたしますので、今後とも格段のご協力・ご支援をお願い申し上げます。
 結びにあたり、貴重な史料をご提供くださいました多くの所蔵者や編著者の皆さま、ご協力をいただいた関係機関及び調査・執筆・編集に当たられた皆さま方に対しまして厚く御礼申し上げます。
    平成二十四年三月浜松市長  鈴 木 康 友