[市役所の移転新築]

60 ~ 60 / 900ページ
【浜松市役所】
 浜松市役所は終戦直後のバラック建築であったが、坂田市長は市役所の新築よりは学校や図書館、消防署などの建築を優先させてきた。しかし、昭和二十五年になると市内の官公署中一番見劣りがするようになり、衛生状態も悪く、月々莫大な修理費を支払わなければならなくなった。そして、あと三年と持ちこたえるのは困難であるとされた。当時の新聞には「恥かしい市役所」の見出しの下、市長も改築を決意したと記されている。しかし、市には第一期分の工費七千万円はなく、建設省に対して起債の申請を行った。そして、市役所は元城町(現在地)に移転、新築と決まったが、昭和二十五年八月二十七日付の『静岡新聞』には「元城町へ新庁舎が出来上れば旧浜松城天守閣下一帯は浜名地区署、浜松税務署、浜松図書館、中部中学校、元城小学校、キリスト教会など公館が立ならび、防火と美観を兼ねた理想的な官公衙が実現する」と記していた。敷地内に居住している三十余戸の移転交渉と建設費の高騰などにより、新庁舎の起工は岩崎市政下の昭和二十六年十二月となった。