[占領目的違反行為]

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 昭和二十一年七月十五日から連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令が施行された。趣旨を簡単に言えば、占領軍の命令に違反する行為をすべて処罰の対象にするもので、正常な社会ではあり得ない法令であった。
 静岡県渉外事務局長・同県警察部長から各地方事務所長・各市町村長・各警察署長・各学校長にあてた文書で、直接一般県民に関係ある事項を具体的にいくつか挙げてみよう。
 
「一、闇取引、ポツダム宣言受諾に基いて発した物価統制令に違反する。……一、花柳病を持つて居ながら夜の女などで進駐軍に媚を売る行為。 一、進駐軍のもの、例へばジープなどを破損、損壊する行為。一、軍事教練など軍国主義的教育の実施。 一、修身、日本歴史の授業をすること。 一、無検閲映画の上映。 一、阿片の製造販売。 一、メチールアルコールの製造又は販売。 一、拳銃、弾薬、日本刀、匕首、その他爆弾、武器などは美術的価値ある刀剣などで特別に許可を受けたもの以外、例へ護身用としても所持携行はすべて違反。 一、煙草、チヨコレート等、進駐軍のものは一物といへども窃取、購入、不法所持するものはすべて違反。」とある(『静岡県史』資料編 21)。
 また、浜松署では一般管内人に対して、署長から警告を発するとともに、各町村長からも回覧板を回して徹底を期すことにした(『静岡新聞』昭和二十一年七月十七日付)。なお、経済関係法令一覧表は、『新編史料編五』 五産業 史料2を参照されたい。