[青少年犯罪]

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【青少年犯罪】
 昭和二十一年(一年間)の静岡県の「犯罪は、凶悪化集団化し、しかも犯行は青少年層いわゆる初心者層によつてその大部分が敢行されていることが特異性」だと報じている(『静岡新聞』昭和二十二年一月十二日付)。ピストル強盗事件だけでも十四件起きていた。青少年の犯罪は強盗・強姦が最も多く、強盗犯人百五名中二十五歳以下の青少年が約七十%の七十二人を占め、いわゆる住所不定無職者が五十六名いる。強姦犯人二十八名中の二十四名が二十五歳以下の青少年であることから推しても、敗戦後の青少年の傾向、殊に青少年と犯罪世相を知ることが出来ると述べている。
 昭和二十二年十月にそうした世相を如実に示した事件が報道された(『静岡新聞』)。十月五日・七日・十一日の三回にわたり、ピストル・日本刀所持の集団強盗が、向宿・中島・浅田の三町の民家に押し入り、衣類や現金、織物などを持ち去る事件が発生した。それらに共通する手口、盗品割り出し等から犯人の目星を付け、市内の十九歳の青年(執行猶予中)を検挙、取り調べた結果、一連の事件の真相が判明した。三回の事件はいずれも同一犯人によるもので年齢は十七~二十一歳、主犯は十七歳、一人だけ二十一歳であった。事件について意見を求められた司法保護委員の林さんは、「家庭にも一端の責任はあるが従来の軍国主義教育が思慮未だ十分でなく青少年の思想に大きな影響を及ぼします、敗戦後のこんだくした世相がどれほど青少年の魂を自暴自棄に陥らしめたか、先ず社会が大いに反省しなければなりません、…」と語っている(『静岡新聞』昭和二十二年十月十九日付)。この事件は解決したが、この後もこのような集団強盗事件が頻発し、治安の回復までにはかなりの年月を要した。