[国家地方警察浜名地区警察署]

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【国・県の公安委員会 浜名地区警察署】
 「人口五〇〇〇人未満の町村では自治体警察をもつことは困難であり、かつ平時における自治体警察相互間の連絡調整が必要のため、また非常事態に際しての警察活動の効果を高めるため、国家地方警察が設けられることになった」(百瀬孝著『事典昭和戦後期の日本』)。国家地方警察の最高決定機関としては、中央に内閣総理大臣の下に国家公安委員会を置き、その下に地方組織として都道府県公安委員会が設けられた。この公安委員会の下に昭和二十三年三月七日に国家地方警察静岡県本部が置かれ、県下に十四の警察署が誕生した。浜松近郊には浜名地区警察署が置かれ、同日に発足した浜松市警察署と建物を共有した。管轄区域は積志村・北庄内村・篠原村・三方原村・豊西村・飯田村・芳川村・河輪村・五島村・長上村・南庄内村・村櫛村・和地村・吉野村・伊佐見村・神久呂村・入野村・可美村・新津村など一町二十七カ村であった。昭和二十五年、この地域の戸数は二万八千九百二十四戸、人口は十七万八百十九人であった。新制度により、従前の浜松警察署の区域は自治体警察六(浜松市、笠井町・雄踏町・舞阪町、和田村・中ノ町村)と国警に編入された地域に分轄された。また、新居警察署からは自治体警察二(新居町・鷲津町)と国警に編入された地域(白須賀町、新所村・入出村・知波田村)に分轄された。なお、都田村は当時引佐郡であったので、国家地方警察の引佐地区警察署(引佐郡気賀町)の管轄となった。
 浜名地区警察署の昭和二十五年ころの様子は『警察便覧』に述べられている(『新編史料編五』 二軍事 史料40)。庁舎は当初昭和三年(一九二八)浜松警察署として建てられたものを自治体警察の浜松市警察署と共同使用していたが、総工費七百七十七万円をもって元城町(今の浜松市役所の西、旧浜松税務署付近)に新築、昭和二十五年一月に落成式を挙げ移転した。
 国警の浜名地区警察署管内の駐在所・派出所は制度発足時四十カ所あり、それらは従前の浜松署・新居両署のものを使用し、新築したのは篠原村だけであった。署員の多くは勤務も駐在所・派出所であり、当初の定員は七十九名であった。

図26 国家地方警察浜名地区警察署(左)

 
【東浜名地区警察署 引佐地区警察署】
 昭和二十六年の警察法一部改正により、三十六の自治体警察が廃止され、この区域が国家地方警察に編入されたため地区警察署の管轄区域の再編成が行われた。従来十四地区であったものが、二十地区に増設され、浜名地区警察署は東西に分割された。現在の市域は自治体警察の区域を除いてほとんどが東浜名地区警察署の管轄となったが、都田村だけは引佐地区警察署の区域に入っていた。この警察署の派出所と巡査駐在所の設置位置及び数は表2-9の通りであった(『静岡県警察史』下巻 六六三頁)。
 
表2-9 国家地方警察東浜名地区警察署 警部・巡査部長派出所、巡査駐在所(昭和26年10月1日)
警察署派出所名称 巡査駐在所名称
警部警部補巡査部長巡査
東浜名地区
警察署
雄踏町
北浜村
篠原村
北庄内村
芳川村
北浜村沼、北浜村東美薗、北浜村善地、赤佐村、積志村有玉、
積志村、小野口村小松、小野口村小野口、長上村市野、
長上村天王、中瀬村、芳川村、飯田村、三方原村西、
三方原村東、南庄内村、村櫛村、和地村、吉野村、伊佐見村、
篠原村馬郡、神久呂村田原(神田原カ)、入野村、
可美村、可美村高塚、北庄内村白洲、神久呂村
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出典:『静岡県警察史』下巻より作成