[浜松市消防団の誕生]

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【消防団 浜松市消防署 浜松市消防団】
 警防団は前述したように敗戦後も活動を続けていたが、GHQは消防制度にも警察と同様に民主主義の原理を導入、根本的な改革に乗り出した。これを受けて政府は昭和二十二年四月三十日に消防団令を公布し、従来の警防団は廃止され、市町村に自主的かつ民主的な消防団が誕生した。しかし、まだ警察と消防との分離がなされていないなど、民主化が不十分であった。このため、昭和二十三年三月七日、消防組織法(昭和二十二年十二月二十三日公布)の施行により、消防は警察機構から分離独立し、市町村が責任を負う自治体消防制度が発足した。浜松市における自治体消防制度は市長の下に置かれた常設の浜松市消防署と民間人からなる浜松市消防団によって運営されることになった。また町村では常設の消防署はなく、町村長の下に消防団が置かれた。この三月七日は新しい警察制度発足の日でもあった。
 自治体消防制度のうち、まず消防団について述べることにする。前述の消防組織法を徹底し、民主化をさらに推進するため、昭和二十三年三月二十四日に新たな消防団令が公布された。消防団の指揮監督権は警察から市町村長に移り、義務設置から任意設置制になるなど大きな変化を遂げた。これにより、浜松市は浜松市消防団設置条例や消防団員服務規律及び懲戒条例などを制定した。浜松市消防団はそれぞれの地域からなる消防組織で、団員は職業を持ち、仕事をしているが、火災などの緊急時には任務の遂行に当たるというものである。この浜松市消防団は表2-10のように、本部と十六の分団があり、それぞれ管轄区域が決まっていた(「浜松市消防団設置規則」『浜松市報』 No.10)。消防団には本部を置き、庶務・調査・連絡の三つの係を設け、分団には本部及び警戒・喞筒・水利・火先・救急・連絡の六班を置いた。団員の職階は団長・副団長・本部員・分団長・副分団長・部長・班長及び消防員となっていた。団長は市長が任命することになった。給与は職務手当、出勤手当、訓練手当などがあり、団員が負傷した場合は療治料・傷痍扶助料などが、また死亡した団員には祭祀料・遺族扶助料の支給があった。服務、規律の面では、団員は召集によって出動し服務することになっていたが、召集を受けない場合でも水火災その他非常災害等の発生を知った時は直ちに出動しなければならなかった。団員が十日以上居住地を離れる場合は、団長は副団長に、そのほかの者は団長に届けることになっていた。設備費材としては十五を掲げているが、主な物を見てみよう。消防自動車喞筒、水管車その他雑車、はしご、消防用破壊器具及び工作器具、提灯及び信号旗、救助袋救助幕、救急用具その他衛生材料、消防水利施設、機械器具蔵置場、サイレン及び警鐘台等で、これらは戦前と大差ないものと思われるが、消防自動車喞筒は全団所有していた。
 
表2-10 浜松市消防団の位置及び管轄区域
名称位置管轄区域
浜松市消防団浜松市鴨江町十三番地浜松市一円
浜松市消防団
第一分団
同  元城町一三八番地元城町 松城町 元目町 田町 池町
旭町 尾張町 鍛冶町 千歳町 伝馬町
肴町 大工町 神明町 連尺町 紺屋町 利町
同 第二分団同  板屋町三二八番地馬込町 常盤町 新町 松江町 板屋町
東田町 早馬町
同 第三分団同  追分町三四番地亀山町 広沢町 名残町 追分町 和地山町
上池川町
同 第四分団同  東伊場町八八番地ノ七元魚町 東伊場町 西伊場町 森田町
成子町 塩町 菅原町 平田町
同 第五分団同  寺島町三七八番地寺島町 砂山町 北寺島町 龍禅寺町
同 第六分団同  山下町九八番地山下町 中沢町 下池川町 元浜町 北田町
同 第七分団同  相生町八五番地ノ一木戸町 相生町 天神町 向宿町 領家町
福地町 佐藤町 中島町 名塚町
同 第八分団同  富塚町一八〇五番地富塚町 和合町
同 第九分団同  曳馬町一一三番地曳馬町 十軒町 早出町 上島町 細島町
同 第十分団同  萩町一三〇四番地住吉町 萩町 葵町 泉町 幸町
同 第十一分団同  新津町八四番地茄子町 新津町 助信町 高林町
同 第十二分団同  海老塚町二八三番地海老塚町 浅田町
同 第十三分団同  寺脇町一〇九八番地寺脇町 中田島町 福塚町 白羽町 三島町
楊子町 瓜内町
同 第十四分団同  神立町五二六番地神立町 植松町 子安町 大蒲町 将監町
上西町 宮竹町 丸塚町 上新屋町 西塚町
同 第十五分団同  野口町三一五番地野口町 船越町 八幡町
同 第十六分団同  鴨江町九七番地鴨江町 中山町 栄町 三組町 高町
出典:『浜松市報』No.10(昭和24年1月25日)より作成