[十二月十五日の神道指令]

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【神道指令】
 GHQによる占領政策の基本は日本の非軍事化と民主化であったから、これに抵触する政治・経済・社会・教育・文化等を対象とする日本社会の改造にあった。昭和二十年十月四日の治安維持法・特高警察の廃止、同月十一日には五大改革を指令した。すなわち、婦人の解放、労働組合の結成、教育の自由主義化、圧政的諸制度の廃止、経済の民主化である。
 昭和二十年十二月十五日には既述のように神道指令を発した。その指令内容は全十二条と細目の六項目にわたる(『新編史料編五』 四宗教 史料6)。
 この中で国費・地方費による神社の維持・経営、神職の給与支給などの財政支援、あるいは国家神道・神社神道における行事や式典、参拝などについて監督・強制するなど、国民の思想信仰の自由を拘束することを禁止し、公文書の用語(大東亜戦争、八紘一宇など)も厳しく規制した。なお、同日付でGHQ参謀副官発第三号(民間情報教育部)の指令として、アレン陸軍大佐が、神道指令について、詳細かつ極めて長文にわたる解説書を書いている(入野小学校蔵「連合軍最高司令部発教育関係指令綴」、飯田小学校蔵「連合軍関係指令綴」)。
 翌二十一年二月十三日付で浜松市長は、市内の県社以下の各神社神職・氏子総代にあてて、神道指令に整合させるべく、国家神道・神社神道の後援・支持・保全・管理・弘布を内容とする法令を廃止する旨の通達を出した(『新編史料編五』 四宗教 史料7)。これによって、国家神道がどのように維持されてきたのか、その法制上の装置と構造が改めてうかがい知れよう。