浜松商工会議所の前身は明治期に出来た浜松商業会議所で、昭和初期に浜松商工会議所となった。しかし、戦時中には国策への協力の名の下に静岡県商工経済会浜松支部となった。戦後になると自由主義経済に根ざした新しい経済団体の組織化が求められた。政府は、昭和二十一年九月に商工経済会の廃止に関する法律を公布し、商工経済会を解散し、それに替わって新しい商工会議所を設立する方針を決定した。中央政府の方針が明確になるとともに、浜松地方でも商工会議所の設立に向けての動きが始まった。『浜松商工会議所百年史』(以下、『百年史』という)によると、商工会議所設立の経緯は次のようなものであった。昭和二十一年八月三日に「商工経済会解散に伴う善後措置に関する懇談会」が開かれ、新商工会議所設立に向けての議論が行われ、同年八月十二日には商工会議所設立浜松地区準備会が開催された。準備会には浜松を中心とする遠州地方及び大井川以西の商工業者と各地域の商工会の代表が集まり、設立趣旨と入会について活発な議論が行われた。