この遠州地方産業復興協議会へ経営者側の委員を選出する母体として組織化されたのが遠州経営者協議会であった。昭和二十二年二月二十八日、浜松商工会議所で創立総会が開催され、地域の経営者が協力して産業復興に努力することを誓い合った。この協議会が結成されたのは、労働組合側がすでに遠州地方労働組合会議を結成していたため、それに対抗する経営者側の組織が必要であったからにほかならない。同年八月二十八日には遠州経営者協会と名称を改め、会員の地域を大井川以西とし、従業員二十五人以上の会社や工場を対象として発足した。この協会の主たる活動は、当時吹き荒れていた労働争議に対する、経営者側の労働対策と啓蒙運動にあった。発足当時加盟していた会社は五十社にすぎなかったが、昭和二十五年には百七十五社に増加し、その後、遠州地方にある主要工場のほとんどが加盟するようになった。