工作機械工業

234 ~ 234 / 900ページ
【遠州織機 須山織機 日進機械製作所】
 次に、鉄を加工する工作機械の発展を見ることにしよう。工作機械工業の先行産業は繊維機械工業である。戦時中には、織機メーカーそのものが工作機械の製造へ転換したケースと、織機メーカーからスピン・オフして工作機械メーカーを設立したケースがある。前者の代表が遠州織機や須山織機であり、後者の代表が日進機械製作所である。浜松地域における工作機械の企業は、戦時下での国の優遇策(昭和十三年、工作機械製造事業法)の下で増大傾向をたどった。しかし、軍需品の生産と結び付いた工作機械工業は、大戦末期に大きな被害を受け、戦災率も九十%に達した。それ故、戦後の復興もはかばかしくなく、昭和二十四年当時の復興率は四十三%にとどまった。その後、工作機械工業は、織機メーカーに戻る企業と、当時浜松地域で勃興してきた二輪車メーカーに転換する企業に分かれた。戦後の工作機械工業は、当地域において主導産業となった二輪車工業の成長とともに発展していくことになる。