昭和十六年のガソリンの配給停止により、バスは全車、いわゆる代燃車で薪や木炭を燃料としていた。始動性の悪いのはもちろん、出力が落ちて乗客が多いと坂を登ることも出来なかった。こうした状況に変化が見え始めたのは、全国的にディーゼル車が採用されるようになった二十三年ごろのことである。この年、遠州鉄道では四十四人乗りのディーゼル車二両を購入、翌年にも四十九人乗りを三両導入するなどして、輸送力を増強した。ただ、二十四年度末にはガソリン車十両、ディーゼル車二十四両に対して約半数の四十七両が代燃車であった。
昭和二十五年に民間石油輸入が再開され、二十六年には代燃車の石油燃料車への転換が解禁されると、さらにディーゼル車の導入が進み、遠州鉄道でも二十七年三月に代燃車を廃止した。
図2-47 遠鉄バスのディーゼル車