[占領当局の助言による統計や図表化の流行]

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【『浜松市統計』 統計図表軍政部】
 これまでの統計書は数字の羅列に終始し、一目で理解したり、見る楽しみというものはなかった。GHQは統計をより易しく、円グラフや棒グラフ、折れ線グラフ、図、地図等を挿入して親しみやすい統計にすることを行政機関や学校に推奨したようだ。昭和二十六年に浜松市役所で発行した『浜松市統計』第7号の冒頭にはアメリカ統計使節団第一報告書から、「日本の統計にとつて最も根本的に必要なことは、日本民衆の間に統計的な考え方をする習慣を発達させることである。…それは賢明な社会行政及び政策を樹立するために用いる実際的な道具である。」という文章を引用している。このアメリカからの要請に最もよく応えたのは『浜松市統計』の第9号と第10号であった。この二つの冊子には親しみやすい図やグラフを駆使した統計が数多く掲載されている。同様なことは学校教育の現場でも見られるようになり、ある小学絞では壁はもちろん、天井には星座の図面を貼り出すことも行われた。西部中学校の初代校長の手記にはこれら統計図表の活用は軍政部からの指導によるものであると記され、二十五年の同校の写真には教室の壁に生徒の手作りの統計グラフが所狭しと掲示されている光景がみられる。