一般住宅の不足を補うため、昭和二十一年度から市と住宅営団による公営住宅が和地山、鴨江、龍禅寺などの町に建設された(表2-44)。公営住宅への入居希望者は建設戸数の数倍以上であり、入居者は公開抽選で決めた。抽選会場には多数の申し込み者が参観に訪れ、抽選に外れた人たちのため息が会場に響き、悲喜こもごもの情景が繰り返された(『浜松市戦災復興誌』)。昭和二十三年八月の住宅調査によると、浜松市内では、一住宅当たりの畳数は十五・一八畳、居住人員は五・一九人であり、一人当たりの畳数は二・九二畳で、全国の市平均の三・二畳に及ばない過密住宅であった。特に戦後に建築された住宅は一人当たりの畳数が二・四八畳で、戦前の住宅の三・三四畳、戦時建築の三・〇〇畳に比し、大変少なかった(表2-45)。この過密居住は戦災者や戦後に流入した人々(疎開先からの復帰者、引揚者、転入者)の場合に著しかった(『浜松発展史』)。
表2-44 公営住宅建設地別戸数
出典:『浜松市戦災復興誌』より作成
年度 | 木造公営住宅 | 耐火構造公営住宅 | 合計戸数 | ||
建設地 | 戸数 | 建設地 | 戸数 | ||
21 | 和地山町(74),鴨江町(54), 龍禅寺町(4) | 132 | 0 | 132 | |
22 | 和地山町(108),助信町(10), 鴨江町(8)、龍禅寺町(4) | 126 | 0 | 130 | |
23 | 名残町(110),和地山町(90) 寺脇町[転用住宅](4),利町 [付属住宅](1) | 205 | 0 | 205 | |
24 | 名残町(45),東伊場町(15), 浅田町(15) | 75 | 松城町(24) | 24 | 99 |
25 | 上池川町(8),名残町(60), 下池川町(10) | 78 | 名残町(32),松城町(24) | 56 | 134 |
26 | 0 | 亀山町(48) | 48 | 48 | |
計 | 和地山町(272),名残町(215), 鴨江町(62),東伊場町(15), 浅田町(15),助信町(10), 上池川町(8),下池川町(10), 寺脇町(4),龍禅寺町(8), 利町(1) | 620 | 松城町(48),亀山町(48), 名残町(32) | 128 | 748 |
表2-45 建築時期別居住概況 (昭和23年住宅調査)
出典:『浜松発展史』より一部加筆し作成
建築時期 | 住宅数 | 畳数 | 世帯数 | 人員数 | 一世帯当人員 | 一人当畳数 | 一住宅当畳数 |
戦前 | 11,246 | 212,223.5 | 12,800 | 63,465 | 4.96 | 3.34 | 18.87 |
戦時 | 632 | 10,507.5 | 713 | 3,495 | 4.90 | 3.00 | 16.62 |
戦後 | 12,793 | 151,861.0 | 13,430 | 61,161 | 4.55 | 2.48 | 11.87 |
計 | 24,671 | 374,592.0 | 26,943 | 128,121 | 4.76 | 2.92 | 15.18 |