[昭和二十三年度浜松市民の病勢]

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【浜松市医師会 結核 ペニシリン ストレプトマイシン】
 浜松市医師会(医師会長加茂道好)は昭和二十三年四月から翌二十四年三月まで、全会員が協力し毎月十五日を期して「患者一日調査」を行い、各月の報告を集計し整理した統計表を作成した。それを『浜松市病勢調査統計書』と題して刊行したのが同二十五年七月(序文、六月)である(『新編史料編五』 八医療 史料15)。
 戦前の昭和五年、十年、十五年に静岡県医師会は全県下を対象に、十月一日を期して「患者一日調査」を実施し、この調査結果は国民医療の諸対策に資されたのである。浜松市医師会はこれの戦後版を試みたのである。浜松市民十三万人余の所で、市内在住の医師が百十四人(内科五十一、外科二十一、小児科七、眼科六、耳鼻咽喉科九、性泌皮膚科五、産婦人科十一、精神科四)と、病院六、診療所六十八、病床九百十三床を擁する浜松市にあって、「如何に医療が行はれているかの状況が判明する点で本調査の意義は存しよう」という総括が緒言に述べられている。
 これに収められた統計表は、患者数(A外来患者数、イ疾患別の観察・ロ年齢群別疾患別観察・ハ季節別観察・ニ職業別観察、B入院患者数)、医師の診療数、病院・診療所別患者数、戦前の診療数との比較(昭和五年・昭和十年・昭和十五年・昭和廿三年)である。なお、この『浜松市病勢調査統計書』は、『浜松市医師会史』(平成八年三月二十日刊)に諸統計図表を除いて再録されている。
 特に『新編史料編五』で取り上げたのは患者累計二万三千七百三十人中の主要疾患別百分比表と一歳から六十歳以上の「疾患別年齢群別一日平均患者数」である。全体から見ると結核が十四・七%でトップであり、以下に消化器疾患十二・一%、呼吸器疾患十・三%(感冒四・五%を除く)、眼の疾患九・八%、皮膚疾患八・四%と続く。三十歳から五十九歳までの病気でもこの傾向が見られるのである。
 なお、薬剤の観点から言うと、ペニシリンとストレプトマイシンが使われ始め、また、診断・治療の技術、さらには予防検診の体制が整い、結核ばかりではなく、様々な病勢が著しく変化する時代を迎える。