[母子衛生]

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【母子手帳】
 児童福祉法が昭和二十二年十二月に公布され、翌二十三年一月に施行された。新憲法の理念に基づき戦前の児童に関する諸法制を総括したもので、福祉の措置及び保障の対象として、保健医療的問題(妊産婦など)・母子福祉問題(母子寮)等が含まれている(『国史大辞典』、右田紀久恵執筆「児童福祉法」)。母子衛生に関しては乳幼児の健康診査、妊婦への母子手帳の交付等を決めている。また同二十三年九月に政府は母子衛生対策要綱を作成して妊産婦・乳幼児の保健向上を目指す運営方針を明らかにしている。実務は保健所や指定医師が妊娠・出産・育児について保健指導をしている。
 この母子手帳の成立経過は、戦前の昭和十四年に厚生省策定の「産めよ殖やせよ国のため」という標語の内実が、同十六年の人口政策確立要綱の閣議決定に至り、人的資源確保のために妊婦の国家管理がなされ、同十七年に妊産婦手帳が交付されたのである。戦後の同二十二年に児童福祉法の理念に基づいて総括された上の母子手帳の交付であり、同四十年の母子健康手帳に至っている。